2014年11月17日月曜日

ルカの23章です。22章とは一転して、ここではイエスはほとんど語らなくなります。死を覚悟していたのでしょうか。一方福音記者は、ピラトの口を借りて「この男に何の罪も見いだせない。」「訴えているような犯罪はこの男には何も見つからなかった。」「死刑に当たる犯罪は何も見つからなかった。」とイエスの罪のなさを強調します。それは共に十字架にかけられた犯罪人の「しかし、この方は何も悪いことをしていない。」に、そして、百人隊長の「本当に、この人は正しい人だった。」につながります。イエスの最後の言葉は「父よ、わたしの霊を御手にゆだねます。」で、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」とはだいぶ違います。正しい人イエスは、何の罪もないのに「その男を殺せ。/十字架につけろ。」と叫ぶ祭司長たちと議員たちと民衆の狂気によって、殺されます。寡黙なイエスが語ったのは、回心する犯罪人にかけた「あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる。」という言葉です。渦巻く狂気と憎悪の真っ只中で楽園にいるイエス。ただまっすぐに父なる神に顔を向け、目をそらさない姿を感じます。この出来事を見て、胸を打ちながら帰っていった見物人の中に、自分がいるような気がします。